北海道埋蔵文化財センター 【2010.04.25】

数年前から博物に興味を覚えている。
博物館は静かにモノを眺め、観察し、考えを深めることだ出来る。
眺めるだけでも発見は多い。・・・というより自分が何も知らない
ことを発見するのだけれど。
北海道の歴史は古く旧石器時代から人が住み、また交易を通じて
諸外国との交流も多くあったらしい。


開拓記念館にはしばしば通う。スケッチをするのがとても楽しみだ。
自分はモノを眺めるのがとても好きだ。スケッチはその時気に入った
ものを描いている。何れそんなスケッチもブログに掲載したいと思う。


先日は江別にある北海道埋蔵文化財センターを訪ねてみた。自身は
3度目になるだろうか、とても良い施設で展示は秀逸。開拓記念館の
ような博物施設の系統立てられた展示とも異なり、発掘調査の報告
展示という具合で臨場感がある上に珍しいモノの展示も多い。



土器の展示は素晴らしいと思う。縄文時代早期からの変遷が一覧でき
その特徴と移り変わりが良く観察できる。端的に洗練さの増す様が
一望できる。より薄く、精緻で品のある姿へと移り変わる。
(土器ならば江別市郷土資料館の展示もその収蔵量といい素晴らしい。)



珍しいものも多く展示されている。例えば縄文後期のキウス遺跡出土の
手稲式土器、これらは注口式土器という。そのカタチといい、大きさと
いい自分には”きゅうす”にしかみえない。



中にはこんな素朴なものもある。縄文の跡もなく何かしらの器。案外、
こんなのが好みであったりする。

この日は初めてみる驚きのモノが展示されていた。


   


これは一体何ものなのだろうか?
朱に染められた東北産の土器、長沼にて出土した縄文後期3200〜3300年
前のものらしい。トポロジーの問題になりそうな、かなり複雑な穴の数。
土器の製作は容易ではない。ここまで複雑に入り組んだ内部立体構造を
有するとは怖くなるほど力が漲っている。
洗練さや上品さは感じられないけれど、その造詣の凄さは不気味なほど。
ひょっとすると今やマスコットになった感のあるびびちゃんや森のイカ
土偶にも劣らぬシロモノではないのだろうか?
これなら、祭儀に使われたと案内されても合点がゆきそうだ。



自分は石器がとても好きである。なぜか興味を惹かれる。
キウス遺跡で出土したこの石器は実に見事な仕事だと思う。
その完成度は美しいと思える程だと思う。
何度見ても、目が止まりじっくり眺めてしまう。
こんな石器、誰しもが作れるものとは到底思われない。


   


土偶や土面類、昨年はロンドンに行っていたので観ることが出来なかった。
雪祭りの頃、道庁で催された展示会ではこの国宝の彼は常に人だかりと
なる人気ぶりであった。でもこの日は静かに眺めることが出来た。

なかなか凛々しい横顔だ。