恵庭郷土資料館 【2010.05.01】

昨日は千歳で打合せがあった。帰り道の恵庭で郷土資料館に立ち寄る。


恵庭では柏木やカリンバ等の遺跡が発掘されている。察文の遺跡も在る
らしく古くから人々が住んだ痕跡が残されている。キウスや美々川
遺跡のある千歳と並び魅力的な場所だと思う。


車を走らせても気持が良い。景観や気候、風土、食料等ここと決めるに
値する何かがあったのだろう。気持ち良く感じるとは人として大切な
感覚ではないかと思う。そんな気持ちもここと決める一つの理由に
なったのだろうか?


   


恵庭の郷土資料館は小規模な施設ながら納得の展示を備えている。
開拓記念館で見た柏木遺跡の石棒を観て以来非常に興味を感じている。
初めて遺跡名称を記憶したのが柏木。次いでカリンバだったろうか。


   


カリンバで出土した漆塗りの櫛。櫛の木部は腐り消え、漆部分のみが
出土している。なんとも不思議な出土品。大小、カタチは様々あのだ
けれど、このオシャレさ加減に面食らう。縄文は後期だったろうか。


   


土器もなかなか美しい。これは注口式土器。その丹精な姿が目を惹く。
底が尖る尖底式(センテイシキ)とはどういう意味なのだろう?地べたに差し
て置いたのか、常用のものではなかったのか?


   


この土器は以前スケッチに描いている。これもカタチが良くお気に入り。
描いて覚えたのはこの上部の縄文紋様、とても知的なものだと思う。
野性的ではなく、素朴な痕跡でもなく意図された整った構図であると思う。



奥の2つ、こんな優勝杯のような土器は何に使われたのだろうか?手前の
2つはドレッシングでも入れていたのだろうか?


   


ユカンボシ遺跡は縄文後期とされている。出土している石器類に上手という
印象はない。この土器はドーナッツ型で差し口がついている。一見して何に
使われたのか想像できない上に現代では似たものが思い浮かばない。


   


カリンバとされるこれは明らかにトックリだね。お酒をカンしたのだろうか?


   

このような脚のついた土器は意外と多い。その底部は小さく置くことを考えると
正しくフラットな台があったのだろうか?紋様も洗練を感じさせる。




手前は注口式土器。底の形状といい常用できそうだ。が独特の紋様が注口廻りに
施されている。これだけバラエティーに富んでいると眺めても楽しい。



   


恵庭の指定文化財となるカリンバ遺跡出土の石器。黒曜石だ。「両頭石槍」
長さは24cmという大きなもの。見事。実用品ではなく祭儀に使われたと予想
されているようだ。何に使われたのか?困った時は多くの場合、そう解釈される。

石刃鏃の石器のような素材の良さ、または加工の緻密さというよりもその大きさと
形状に興味を感じる。自分はここでしか観たことがない。



千歳、恵庭方面で仕事が出来たなら、あちこち寄ってみたいと思う。
極めて気になる地域であるし。長い期間、人が住んだ跡があることには
意味があるのだろうと思う。サケが登るような川があったのだろうか?
縄文海進では海の近くではあったのかもしれないけれど、それが理由とも
思われない。日本海から太平洋側へ移動できる平地であったからだろうか?
それでも昔は鬱蒼とした森に違いなかっただろうし。適当な平地、遠くはない
山々、その気持ちよさ、とても気になる。